【現役通関士が解説】三国間貿易

国際貿易の形態として注目される「三国間貿易」について、その仕組みと特徴を詳しく解説していきます。
目次

輸入申告書の輸入者、輸出者は決済者

輸入申告書の輸入者、輸出者は決済者(実際にお金のやりとりをする売者と買主)になります。

輸出者(Exporter)の定義と役割を理解する

輸出者(Exporter)とは、実際に商品を国外に送り出す権限を持った個人または法人を指します。

税関や政府機関から正式な輸出許可を得ており、輸出申告を行う主体となります。

輸出者と売主の関係性

国際取引では一般的に以下のような対応関係が見られます:

  • 輸出者(Exporter)=売主(Seller)

  • 輸入者(Importer)=買主(Buyer)

しかし、三国間貿易において、輸出者と売主が異なるケースが発生します。

実務的な理解を深めるため、具体的な事例を見てみましょう:

取引の構造:

  • 売主(Seller):アメリカ企業

  • 買主(Buyer):日本企業

  • 輸出者(Exporter):中国企業

この場合、商取引の当事者(売主・買主)と、実際の物流を担う輸出者が異なる構造となっています。

このような取引構造の理解は、国際取引における契約書作成や通関手続きを適切に行う上で重要な要素となります。

三国間貿易における物流の特徴

三国間貿易における物流の特徴は、商品が仲介国を経由せずに、輸出国から輸入国へ直接届けられる点です。

これにより、物流コストの削減と配送時間の短縮が実現できます。

三国間貿易における資金決済の仕組み

三国間貿易の最大の特徴は、仲介者を介した2段階の決済構造にあります。

決済フロー

1次決済(輸出者→仲介者間)
輸出者は仕入価格を仲介者へ請求

2次決済(仲介者→輸入者間)
仲介者は仕入価格にマージンを上乗せして、輸入者へ請求

直接取引とは異なり、輸出者と輸入者の間で資金のやり取りは発生せず、すべての決済が仲介者を通じて行われます。

スイッチインボイス

スイッチインボイスとは、三国間貿易において価格情報を適切に管理するために使用される、発行者名と価格を変更した請求書です。

主な変更点:

  • 発行者の変更(輸出者→仲介者

  • 取引価格の調整(仕入価格→販売価格

2つの売買契約が存在するため、輸出者から仲介者へのインボイスと、仲介者から輸入者へのインボイスの2種類あります。

実務での活用例: 仕入価格500ドルの商品を700ドルで販売する場合

  1. 輸出者発行インボイス:500ドル(仲介者向け、仕入れ価格)
    仲介者は仕入れ価格(500ドル)に取引マージン(700ドル)を上乗せして、輸入者へ請求します。

  2. 仲介者発行インボイス:700ドル(輸入者向け、販売価格)
    仲介者は仕入れ価格と販売価格の差額(取引マージン)利益(200ドル)が生まれます。

スイッチB/L

スイッチB/Lは、三国間貿易における物流情報を適切に管理するための重要書類です。

変更対象となる項目:

  • Shipper(荷送人)

  • Consignee(荷受人)

実例:中国→日本の取引(アメリカが仲介)

オリジナルB/L

  • Shipper:中国企業(輸出者)

  • Consignee:アメリカ企業(仲介者)

  • 積地:中国

  • 揚地:日本

スイッチB/L

  • Shipper:アメリカ企業(仲介者)

  • Consignee:日本企業(輸入者)

  • 積地:中国(変更なし)

  • 揚地:日本(変更なし)

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